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  所得税・復興特別所得税の申告は3月16日(月)
        消費税・地方消費税の申告は3月31日(火)

 今年の確定申告は、新元号「令和」となって初めての確定申告となります。
 令和1(元)年分の確定申告では、何か変わった点はあるのか? 変更点やポイントについて解説します。

 所得税では、大きな改正点はありませんが、消費税では税率引き上げと軽減税率の導入により、事業者の帳簿記載に大きな影響ありました。

 改正のポイント
・ 源泉徴収票など、令和1年分から添付不要となる書類があります
  ① 給与所得、退職所得および公的年金等の源泉徴収票
  ② オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
  ③ 配当等とみなす金額に関する支払通知書
  ④ 上場株式配当等の支払通知書
  ⑤ 特定口座年間取引報告書
  ⑥ 未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
  ⑦ 特定割引債の償還金の支払通知書
 * この改正は、ワンスオンリー(行政機関に一度提出した情報の再提出の原則不要化)です。
   ただし、紙による提出でもe-Tax申告でも内容を確認するため、必要があるときは、原則5年間、書類の提示又は提出を求められることがありますので保存は大切です。

・ 消費税の課税事業者は、税率ごとの区分経理と区分記載請求書等保存方式への対応が必要となりました
  ① 売上などで消費税を加味した取引を記載する場合、その売上が旧標準税率の8%なのか、新標準税率の10%なのか、軽減税率の8%なのか、区分して経理する必要があります。
  ② 仕入や経費などで消費税を加味した取引を記載する場合、その仕入や経費が旧標準税率の8%なのか、新標準税率の10%なのか、軽減税率の8%なのか、区分して経理する必要があります。
  ③ 「区分記載請求書等保存方式」が導入されました。
    改正前は、請求書に 1.発行者の氏名又は名称 2.取引年月日 3.取引内容 4.取引金額を記載する必要がありましたが、軽減税率制度実施後は、取引が旧標準税率の8%なのか、新標準税率の10%なのか、軽減税率の8%なのかを明確にするため、令和1年10月1日から令和5年9月30日までの期間については、請求書等保存方式が導入されました。
   区分記載請求書等とは、上記4項目に加え、軽減税率の取引については「軽減税率対象品目である旨」、さらに「税率区分ごとの合計請求金額」の2項目を追加記載するというものです。
   なお、追加された2項目の記載がない場合など、記載事項に不備がある場合には、受取った側で追記することが認められています。
 * 消費税率の引上げにあわせて軽減税率制度が実施されていますが、消費税の課税事業者においては、通常の帳簿記載に加えて、税率ごとの区分経理が求められました。

・ 給与所得者で、2ヶ所以上から収入を得ている方は、スマートフォン版での確定申告が可能となりました。
 * スマートホンでの確定申告の適用範囲が拡大されました。 給与所得者では、2ヶ所以上から収入を得ている方も可能となりました。
   さらに、一時所得と雑所得も可能となりましたので、年金者、副業などで雑所得のある方も対象範囲に入ります。

▼ 令和2年分からの改正点「基礎控除の引上げ」「青色申告特別控除の引下げ」です。
  ・ 基礎控除     380,000 ☛ 480,000   合計所得による変動(減額)あり
  ・ 青色申告特別控除 650,000 ☛ 550,000   最高限度額

  ・ マイナンバーカード方式(e-Tax申告)の導入

  確定申告の対象者

● 確定申告をしなければならない人(主な例)
 ① 個人で事業を行っており、納税額がでる
 ② 不動産収入があり、納税額がでる
 ③ 給与が年間2,000万円を超える
 ④ 2ヶ所以上から給与をもらっている
 ⑤ 同族会社の役員等で、その会社に不動産や事業資金を貸付、賃貸料や利息を受け取っている
 ⑥ 令和1年中に土地等の譲渡があった
 ⑦ 給与所得者で、給与以外の所得金額が20万円を超える

● 確定申告をすれば、所得税の還付を受けられる人(主な例)
 ① 雑損控除、医療費控除、寄付金控除、配当控除、住宅ローン控除を受ける
   ・ 確定申告をしなければ所得税の還付は受けられません ・ 住民税も減額されません
 ② 会社で年末調整(控除の申告もれ等含む)を受けられなかった
 ③ 年末調整制度がない公的年金
 ④ 退職金から源泉徴収されている人で、一定の条件の人

◆ 住宅ローン控除の特例(改正) <令和1年分の留意点>
  個人が令和1年10月1日から令和2年12月31日までの間に、住宅借入等により消費税率10%が適用される住宅を取得して居住した場合は、住宅ローン控除の期間が既存より3年長い13年間とされました。

  所得税は収入ではなく ・ 所得にかかる

 所得税の計算は以下のとおりとなります。
 1 収入金額 - 必要経費 = 所得金額
 2 所得金額 - 所得控除 = 課税される所得金額
 3 課税される所得金額 × 税率 = 所得税額
 4 所得税額 - 税額控除 - 源泉徴収税額 -予定納税額 = 納付税額/還付税額

 以上より、マイナスされるもの(必要経費・所得控除・源泉徴収税額)を正確に把握することが、税金を正しく計算(納め過ぎない)するポイントとなります。

 * 必要経費(収入から差し引かれる金額) ・・・ 字句のとおり、収入を得るために必要な費用です。収入との相関関係(相互関連)と金額的合理性(世間常識)であり、十分な主張と根拠を示して計算<自己主張>しましょう。
   給与収入、公的年金収入に対しては、給与所得控除額、公的年金控除額として法令で定められている控除額が適用されます。

 * 所得控除 ・・・ 俗に家庭事情控除と言われるものです。下記事項を参考にしてください。
  ・ 雑損控除           ・ 医療費控除
  ・ 社会保険料控除        ・ 小規模企業共済等掛金控除
  ・ 生命保険料控除        ・ 地震保険料控除
  ・ 寄付金控除          ・ 寡婦.寡夫控除
  ・ 勤労学生控除         ・ 障害者控除
  ・ 配偶者控除          ・ 配偶者特別控除
  ・ 扶養控除           ・ 基礎控除

 * 税額控除 ・・・ 政策的控除とも言われるもので、下記事項を参考にしてください。
  ・ 配当控除           ・ (特定増改築等)住宅借入金特別控除
  ・ 政党等寄付金特別控除     ・ 認定NPO法人等寄付金特別控除
  ・ 公益社団法人等寄付金特別控除 ・ 住宅耐震改修特別控除
  ・ 住宅特定改修特別税額控除   ・ 認定住宅新築等特別税額控除

  ・ 源泉徴収税額、予定納税額は、既に支払っている税額であり、当然の控除です。

■ 土地・建物の譲渡所得について一言
   土地・建物の売却に際し、その取得価額が不明? ということで売却価額の5%しか差引いてもらえなかったとの話をよく聞きます。 売却物件の取得価額が全く不明な場合又は戦前や戦後間もなくから所有していた場合は、最低限5%の取得価額を差引くと法令上は規定していますが、10年20年前の取得で全く不明という事例はあまりません。戦前や戦後直後の不動産なら取得価額5%でも十分かもしれないが・・・?
   バブルが崩壊し、不動産の価額が著しく低下した現在、逆に赤字覚悟で売却している例が多くあります(不動産ではなく、負動産の時代)。 5%の取得価額のみの控除で課税されたのではたまったものです。
   取得時の契約書がなくとも、登記簿謄本を取り寄せれば取得時が明白になります。記憶をもとに、或いは、親の話ではいくら位であったと主張すれば、その土地・建物の取得時の相場は税務署でも計算できます。
   取得価額とは、契約書の金額だけではありません。取得に際しての付随費用(仲介料・不動産取得税等)も取得価額に加算できます。
   必要経費(収入から差し引かれる金額)を如何に主張し、正確な所得を計算するかは税の公平上重要なことです。

* 復興特別所得税
   平成25年分から令和15年分までの25年間の所得税について、復興特別所得税が課税されます。対象となるのは、源泉分離課税や申告分離課税も含めたすべての所得税で、税額はその年の所得税額(基準所得税額)の2.1%相当額です。
   給与所得者等の場合は、源泉徴収義務者である勤務先等が源泉徴収します。

   ・・・何故、個人所得税だけ25年も続くのか?  法人税は数年で廃止されたのに? ・・・

  年金所得者の確定申告不要制度
  誰のため ?  ・・・  税務署のためでしょ !

 公的年金の収入金額が400万円以下で、かつ、その他の所得が20万円以下の人について、確定申告不要制度が設けられていますが、いったい誰のため ?

 公的年金者の申告不要制度は所得税についてのみであり、住民税の申告は必要となります。所得税の申告は不要だが、住民税の申告はしなさい。 ・・・ なら、なぜ所得税だけ不要としなければならないのか(所得税の申告をすれば住民税に連動される) ?
 それは、税務署の都合だけです。 ・・・ 年金者の申告が税務署に殺到すると税務署が忙しくなる。 税金を還付するような申告は受け付けたくない ・・・ が本音でしょう ?

 年金者でも、申告により所得税が還付される

 確定申告を不要とする人であっても、申告することにより所得税が還付される場合があります。(源泉徴収税額がある方)
 ・ 医療費控除、寄付金控除、生命保険料控除、雑損控除などがある
    * 家族の分も支払っていれば控除の対象になります
 ・ 住宅ローン控除を受ける
 ・ 社会保険料(介護保険料など)を普通徴収により個人で納付している
    * 家族の分も支払っていれば控除の対象になります
 ・ 令和1年中に扶養親族等が増えた
 ・ 令和1年中の扶養親族等に誤りがあった、障害者控除、寡婦(夫)控除を受ける

  * とくに、生命保険料や別途納付の社会保険料(後期高齢者医療保険料・・・)の支払がある場合は申告しなければ所得税の還付は受けられません。また、寡婦(夫)控除も年金受給の際に申告しなければ控除されておりません。(漏れていることが多く見受けられます)
   年金の源泉徴収税額は、サラリーマンの源泉徴収と同じで概算であり、税法に照らし正確な税額となっていません。正確に計算すると所得税額と源泉徴収税額と一致することはなく、多くの年金者は税金を払い過ぎとなっています。 ・・・ 申告をすることによって還付を受けられます。(サラリーマンが年末調整で税金が還付されるのと同様)

    税務行政の事務効率のため、年金者の確定申告の権利を奪うものと言えます。