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   消費税増税  あと1年  消費者の対策急務

 消費税増税まで1年を切った。 政府は増税対策の検討を本格化しているが、あれもこれも税金のバラマキであり、社会保障財源や財政健全化には役に立たない、目くらまし対策だ。
 今回は、前回(2014年)増税時と同様、住宅や自動車の購入支援が柱のほか、ポイント還元やら、商品券を配るやら、国民の批判をかわすためだけの小手先の対策ばかりで効果は期待出来ないものばかりだ。
 消費税増税分も、そのほとんどが国の借金返済に回され、社会保障財源や財政健全化にはつながらない。

  住宅・自動車 ・・・ 大型消費支援
     <前回の二番煎じ>


 安倍首相は、経済財政諮問会議で「景気の回復基調が維持できるように・・・」と増税対策の検討を指示したが、出てきた対策は前回消費税増税の二番煎じ。 住宅や自動車の購入支援といった大口買い物(大規模住宅メーカーや銀行の経済支援と自動車メーカーの在庫一掃セール)が柱だ。 増税前の駆け込み需要は見込めるが、増税後の反動減は避けられない。 ・・・ 前回消費税増税時、駆け込み前の水準に戻るのに3年以上かかった。
住宅や自動車購入者に手厚く配慮
なんか違うぞ その対策!
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   そこで浮上したのが、中小企業向けと称し、小売店でクレジットカードやQRコードを使ったキャッシュレス決裁をした消費者に対し、その後の買い物で使えるポイントを還元する。 クレジットカードやQRコードを使ったキャッシュレス決裁できない高齢者等を救済するため商品券(住民税非課税世帯だけであり、低所得高齢者の救済にはならない。)を配るといった姑息な対策案だ。

 そこまで税金を使って消費税増税(税収増5兆円)を強行しなければならないのか?
 政府は、一連の対策を「政策パッケージ」としてまとめ、年内に打ち出すという。 来年の統一地方選、参議院選目当ての効果の薄い対策が積み上がる可能性が大である。
 税制を選挙目当ての対策に使われては国民が迷惑である。

◆ 政府が検討している主な消費税増税対策
<住宅>
 ・ 所得に応じて最大50万円を給付する「すまい給付金」の増額
 ・ 借入残高に応じて最大50万円を所得税から減額する「住宅ローン減税」の拡充・延長
 ・ 住宅取得に使う費用の贈与を受けた場合の贈与税非課税措置の拡充
<自動車>
 ・ 取得時に収める「環境性能割」や「自動車税」を時限的に免除
 ・ エコカーを対象とした減税措置
<中小企業支援>
 ・ 小売店でキャッシュレス決裁をした消費者へのポイント還元
<生活支援>
 ・ 低所得者へのプレミアム商品券の発行

  軽減税率 「準備進まず」 ・・・ 規程もあいまい

 国税庁のパンフレットを見てみよう。  抜粋すると以下のことが書いてある。

よくわかる消費税 ・ 平成31年10月~ 消費税の軽減税率制度が実施されます!
・ 軽減税率の対象品目はなんだろう?
・ 帳簿や請求書の記載方法はどう変わるの?
・ 税額はどうやって計算するの?
・ 適格請求書等保存方式ってなんだろう?
● 軽減税率は全ての事業者に方に関係があります。
● 事業者の方に知っておいていただきたい軽減税率のポイントを紹介します。
● 平成35年10月1日から導入される適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の概要を説明します。
● 事業者の方からのよくある質問に答えます。
 実施時期はいつなの?       ➔ 平成31年10月1日
 税率はどうなるの?         ➔ 標準税率10%(消費税7.8%、 地方消費税2.2%)
                         軽減税率 8%(消費税6.24%、地方消費税1.76%)
 軽減税率の対象品目は?     ➔ ○ 酒類・外食を除く飲食料品
                         ○ 週2回以上発行される新聞
                           (定期購読契約に基づくもの)
 日々の業務で対応が必要となること? ➔ 取扱商品や仕入れ(経費)の適用税率の確認が必要です。
 帳簿・請求書等の記載方法?   ➔ 税率を区分して記載するなど、一定の記載事項が加わります。
                          平成35年10月1日からは適格請求書等の交付・保存が必要です。
 消費税申告?             ➔ 税率ごとに区分した税額計算を行う必要があります。
 課税事業者の方
  軽減税率対象品目の売上がなくても、軽減税率対象品目の仕入れ(経費)があれば対応が必要です。
 免税事業者の方
  課税事業者と取引を行う場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。

と目次で示され、以下14ページにわたり説明があります。
 このパンフレットで理解せよ! 全く無理である。

 日本商工会議所の調査で中小企業の約8割が必要な準備を始めていないことが判明した。
 増税分を販売価格に転嫁できないとした中小企業も4割近くに上る。

 軽減税率は、飲食料品と新聞にかかる税率を8%に据え置くというもの。 軽減税率の導入後は、売上げや仕入れの際に税率ごとに商品を区分して経理する必要がある。 専用レジの導入や経理システムの見直しも迫られている。 飲食料品の販売(外食を除く)なのか? 飲食料品の提供(外食)なのか? ・・・ コンビニやスーパーで飲食料品を購入し、同店内の休憩所で飲食した場合8%なのか10%なのか? ・・・ 同店外の休憩所で飲食した場合8%なのか10%なのか? ・・・ 同店所有の休憩所の場合は飲食10%とするなら、他店所有の休憩所の場合は飲食料品販売8%でよいのか? ・・・ 
 コーヒーの自動販売機、蓋のないカップで購入した場合は飲食料品の提供(外食、10%)なのか?
 判断がつかない。・・・判断がつかないことを理由に税務調査で追徴金を取られたのではたまらない。

 与党一部の政治的思惑で導入された軽減税率。 あまりにも雑な軽減税率である。