少しおさらいをしておこう。
このやりとりについて、予算委員会で議員が「価格の提示がなかったと言い切れるのか」と質問したことに対し、太田充理財局長は「金額のやりとりがあった。そこは認めている。金額のやりとりが一切なかったかのように(佐川氏の)答弁が受け止められて誤解を招いたとすれば、お詫び申し上げる」と回答した。
佐川氏はなんと言ったのか
森友学園への国有資産売却について、佐川宣寿国税庁長官の国会における虚偽答弁がいよいよ鉄板状態になってきた。
佐川氏は昨年3月、「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と答弁した。
また、交渉記録等について佐川氏は「速やかに廃棄した」と答弁している。
ところが、衆院予算委員会で音声データがあり、それは財務省も認めた。その音声データのやり取りでは「0円に近い形で払い下げを」と籠池前理事長がせまり、それに対して、近畿理財局職員が「1億3千を下回る金額はない」「ゼロに近い金額まで努力する」と回答している。
金額と価格は違うと珍回答
全国税労働組合の追及に
だんまりの佐川長官
(全国税HPで閲覧できます。27.10.25号)
さらに、佐川氏の上記3月の答弁は「金額」ではなく「価格」についてであり、売却金額そのものは事前に伝えていないので答弁に問題はないとした。
頭のいい人はうまいこというねぇ。しっかり仲間をまもり、この太田氏は佐川氏に貸を作った。しかし、世間ではこういうのを屁理屈というんだけど。
新たな文書が
総選挙をくぐり、なんとか逃れたかにみえるがここにきて新たな文書が出てきた。
この問題について、神戸学院大学・上脇博之教授は行政文書の開示請求を行ったところ、交渉記録はないと一度は不開示となった。
再請求したところ、30年1月25日、「照会票」という行政文書が開示となった。
この文書は、森友と売買交渉している近畿理財局の交渉担当者が、法務担当者に確認を求めた文書。交渉をめぐる立派な行政文書だ。
そこに交渉担当者は「学園の資金繰りの問題などから国の提示金額で買い受けできない場合も考えられる」と記載し、「(事前に)売買価格を提示して買い受けの可否を判断させるなどの調整が必要」、学園が買わないといわないように「売買金額については、できる限り学園との事前調整に努める」と記載されている。
4つの嘘
どうみても佐川氏の答弁は嘘だろう。
① 理財局の交渉担当者は「価格」も「金額」も事前に提示している。
② 先方は0円で買いたいと希望し提示している。
③ 交渉担当者が記述するように「価格」と「金額」の区別はない。
④ 交渉記録等は廃棄されていない。
枝野議員は1月25日、佐川氏の答弁が「虚偽だったことは明々白々だ。更迭すべきだ」と安倍首相に迫った。
これに対し安倍首相は「適材適所の考えに基づいて行った」とのべ、問題はないとした。
それはそうだと思う。自分と妻を窮地に立たせないよう虚偽も辞さず答弁して追及をかわしたのだから、勲一等である。それを国税のトップに据えることは適材適所だ。
そういえば、安倍さんは所信表明演説で明治150年を語り、戊辰戦争で長州とたたかいその後明治政府に尽くした福島県人をたたえた。唐突な感がしたが、実は、佐川氏は福島県人である。なるほど、安倍さんの所信表明演説はこれ含みだったのかと妙に納得。
行政の私物化に加え、行政機関も私物化して恥じない首相の政治が行われている。
国税職場の労働組合・全国税労働組合が長官交渉で、佐川長官の存在そのものが行政に不都合を招いていることに対してコメントを求めても一切無視。
おれは首相から「適材適所」のお墨付きをもらっているというわけだ。
国民も国税職員も怒っている。この世論を受けて、国会はチェック機能をしっかり果たしてほしい。