ji35.jpg

 

   会員の総意で新たな取り組みへ !

「社会保障と税の一体改革」の名の下に、消費税増税のみが民自公の密室取引で衆議院を通過した。
また、納税者権利憲章を削除し通過した国税通則法改正に伴う通達(案)が国税庁から示された。
民意が無視され、政治も経済も横暴さのみが横行し、社会の閉塞感がますます深まる情勢のなか、東京税財政研究センター第19回通常総会が8月24日全労連会館で開催され、事務所の小田川豊作が東京税財政研究センターの副理事長に選出された。
国税庁の示した国税通則法の通達(案)は、税務当局の思いのままの税務行政の展開を示唆し、年明けとともに本格実施となる。
理事長の永沢晃氏は、「この税務調査手続きに関する通達(案)がこのまま実施されれば税務調査を取り巻く環境は厳しさを増すことが予想される。」「納税者の権利・利益を護る立場から、税理士である会員の総意を結集し、新たな取り組みを!」と決意を述べた。

   ― 活動方針の抜粋 ―

2011年3月11日東日本大震災、それに続く福島第一原発事故。あれから1年5ヶ月。想像を絶する多数の被害者が何の希望の光を見いだせないまま今日に至っている現状は、新自由主義に立脚する政治・経済運営を強めている民主党政権やこれに同調する自民・公明などの政治体制を如実にしめす結果となっています。また、首相官邸を包囲した60年安保闘争以来最大の20万人の反原発デモ、60%を超える消費税増税反対の国民世論、沖縄全県が反対するオスプレイ配備・基地拡張、いずれにも耳を貸そうとしない野田政権はそれを証明しています。
こうした傾向は国税通則法の改正、消費税増税法案の談合成立など税制・税務行政においても露骨に示されました。
 東京税財政研究センターの活動は、引き続く経済の低迷、政治の混迷、消費税増税体制、国税通則法改正に伴う税務調査の強化など、一層納税者・国民にのしかかる様々な課題を真正面から受け止め、これまでの活動の成果に依拠し、国民生活擁護、納税者の権利・利益擁護の立場を堅持し、民主的財政制度、民主的な税制・税務行政の確立に寄与するために研究を中心とした活動を幅広く展開・発展させていく決意です。

   税制・税務行政を取り巻く状況

・ 「社会保障と税の一体改革」を標榜し、これまで築きあげてきた社会保障制度の解体をもくろみながら「社会保障財源」と称して6月26日、民自公密室協議どおり「消費税増税法案」を衆議院で可決しました。これまで議論となっていた「課税の逆進性」「輸出免税」「転嫁できない税」などの消費税が抱える根本的欠陥ともいえる諸問題は何ら検討されませんでした。法案どおり2014年(平成26年)に8%、2015年(平成27年)に10%への増税が行われれば、社会保障制度の縮減と相まって景気の一層の低迷、消費税滞納の急増、中小零細業者の倒産は火の目を見るより明らかです。そして何よりも憲法が求める「税の応能負担原則」を崩壊させる問題となり重大です。
・ 2011年11月30日参議院を通過した「国税通則法改正」は、当初盛り込まれていた「納税者権 利憲章」「国税に関する国民の権利利益保護」が削除され、「事前連絡の例外規定」、帳簿書類の「提 示・提出」「留置き」「修正申告書の勧奨」など、課税庁の運用如何では権力的調査も予測されかね ないことが指摘されていましたが、7月国税庁が発遣した調査手続きに関する通達(案)は税務職員の判断で法律を運用し、進行年分の調査を認めるなど、それを裏付けるきわめて多くの問題を含
 んだものとなっています。そのため、東京税財政研究センターは国税庁が求めている同通達(案) に対するパブリックコメントを提出しました。
・ 通則法の改正に対応して国税の現場では、4月からの内部事務試行、8月からの研修、10月からの実地調査における試行を予定しています。現在も異例の管理強化が行われている税務の現場では一層の矛盾が拡大していくことが予測されます。
・ 日本税理士会連合会は、この「国税通則法改正」問題、「社会保障と税の一体改革」「消費税増税」 について、税理士という立場からの明確な意見表明は何ら行わないばかりか、容認の姿勢を見せています。
国税庁は、現在議論されている「税理士法改正」問題でも、税理士を一層国税庁の下請け体制へシフトすることを狙っています。

   第47回 公開講座

日時  2012年10月9日(火) 1時~
会場  東京税理士会館2F  渋谷区千駄ヶ谷5-10-6
<テーマ>
1 法人税・所得税・資産税等各部門「特に留意すべき事項通達」とその解説
2 改正国税通則法に基づく調査への対応
* 税務署の試行状況、同法関連通達など、調査事例を交え具体的解説
3 「滞納対策(仮称)の手引」解説

   全国税制懇話会2012秋季全国研究集会

 2012年全国税制懇話会秋季全国研究集会は「KKRホテル広島」で開催します。
 今年は中国ブロック主催で、平和都市・広島で10月14日(日)~15日(月)に行います。
 メイン講師は、山本守之先生。演題は「判決・裁決からみた法解釈基準」「消費税の今後」です。消費税増税、法人税減税、国税通則法改正等、税制と税務行政をめぐる大きな転換期に、聞き逃せない山本先生の講演です。ご期待下さい。
日時  2012年10月14日(日)~15日(月)
会場  「KKRホテル広島」
参加費 15,000円(宿泊、資料、講師料、懇親会代込)
<研究課題>
第1日目  12時 受付
       1時~研究集会
        ・山本守之先生講演
        ・税務の現場からの報告
        ・海外(カナダ)税制視察報告
       6時~懇親会
第2日目   9時~研究集会
        ・国税通則法改正に伴うリハーサル調査の実態報告
        ・差押えに対する法律実務
        ・実践報告
      12時 閉会