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 ANNは、自身が実施した世論調査で、派閥からのキックバックを記載していなかった議員は辞職する必要があるとの回答が65%に達したと報じた(2月26日)。
 毎日新聞は、自身が実施した世論調査で、裏金問題のあった自民党議員を国税当局が調査すべきとの回答が93%に達したと報じた(2月18日)。
 国民の怒りはいつになく激しく、収まる様子はない。当然のことだ。

  やめる気なしに対して

 こうした国民の意思を汲み取れない自民党の自浄能力のなさは漫画的である。自分が犯している社会的悪事に対して、責任を取ろうという気がまったくない。世の中では、そのような無責任で責任を取る能力もない人間は「下等人間」と評価され、責任を伴う仕事にはつけない。辞職しろという声が多数を占めるのは世の常識の線上にある当然の判断である。
 本人たちが辞職する気がないのなら、やめさせるしかない。国民はその手段を持っているのだから、日本のために、国民のために、次の選挙で議員職から退場してもらおう。

  調査する気配なしに対して

 毎日新聞で示された国税当局への期待はどう対処されるのであろうか。
 内閣が人事権をもつようになってから、各省庁の官僚は政権を忖度してばかりの、これも「下等官僚」になっているようだが、公務員は全体の奉仕者であって、政権政党の奉仕者ではない。
 誰かの温情で公務員になったわけではなく、近代的公務員制度は試験制度の下、公務員にふさわしいものが採用され、全体の奉仕者たる仕事をになう仕組みになっている。そして、国税当局とその職員たちには、法により法が与えた権限に基づく行政を「恣意的な判断」を入れることなく遂行することが求められているし、現にやっていることだ。
 そうした体制にあるからこそ、国民は税務調査を受入れ対応しているのである。

 国税当局は、課税漏れを逃さないために資料を集め、課税漏れが想定されれば調査で是正を求めてきた。
 自民党派閥のパーティー資金が「政治資金」として集められ、政治資金として使われていれば、法的に非課税としているのであるから課税問題は基本的に生じない。
 しかし、集め方自体が不明確であり、その上使途が不明の状態にある。なにしろ、法で決まっている「記帳」をあえて行わず、「裏金」としていたわけだから非課税になりようがない。
 問題が明るみに出て、あわてて後出しで収入は記帳したようだ。しかし、支出はその使い道を「不明」と記帳するのであるから、開いた口が塞がらない。
 しかし、支出を「不明」と記帳したということは、政治資金ではないことを「自白」あるいは「自認」している証左であるから、非課税とはならず課税対象となる。
 国民はこれらの経緯をしっかり見ている。だから、課税されるべきだと判断しているのである。しかし、国税当局の動きはみえない。腑に落ちないから国税当局が調査すべきは93%にも上っている。
 これは、裏金議員に不信を抱いているだけにとどまらず、国税当局にも不信をもち、何をしているのだという声でもある。
 今後の税務行政を考えたとき、国税庁の幹部官僚は自分たちに突き付けられている国民の怒りを真剣に受け止めなければならない。
 確定申告が明けて税務調査が本格化する季節になる前に、国税当局は動くべきであろう。無責任な輩を放置して税務行政に禍根を残すのか、はたまた国税の信頼を維持できるのか。国民や納税者の目と意識が先鋭化していることを知るべきであろう。