国税庁の宣言を活用しよう
23年度税制改正のひとつの目玉として納税者権利憲章の制定があげられる。国税通則法を恐らく「国税基本法」と名前を変え、納税者権利憲章はその法律によって裏付けを与えられることになる。
憲章はやっと日の目を見ることになったのだが、改正大綱によれば納税者権利憲章に「国税庁の使命」(その中の行動規範を含む)を書き込むとしている。
にわかに注目される存在になっているわけだが、納税者には意外と知られていない。
国税職員に対しては全員に配布される職員ノートに掲載されている。また、国民向けには「国税庁レポート」に掲載しているが、これを手にとって読む人は少ないであろう。
何人かに「国税庁の使命」を知っているか聞いてみたが、知っている人はいなかった。
この文書は、一方的ではあるが、国税庁の使命を明示するとともに、任務と行動規範を国税庁が国民に向かって宣言するものである。当然、国税職員はこの宣言を忠実に実行しなければならないものだ。そこで、ここに全文をのせるので、ぜひじっくり読んでいただきたい。
納税者は申告に当たって不便を感じたり、調査を受けるときに調査官の高圧的態度に悩まされることが多い。どうだろう、国税庁が自ら宣言した「国税庁の使命」に従えば、そんなことは起きえないはずだ。納税者にとっても使える文書である。
納税者権利憲章が制定されるまで、納税者側はこの文書を活用していこう。
国税庁の使命 使命 : 納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する。 任 務 ● 上記使命を達成するため国税庁は、財務省設置法第19条に定められた任務を、透明性と効率性に配意しつつ、遂行する。 1 内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現 (1)納税環境の整備 2 酒類業の健全な発達 ① 酒類業の経営基盤の安定を図るとともに、醸造技術の研究・開発や酒類の品質・安全性の確保を図る。 3 税理士業務の適正な運営の確保 税理士がその使命を踏まえ、申告納税制度の適正かつ円滑な運営に重要な役割を果たすよう、その業務の適正な運営の確保に努める。 行 動 規 範 ● 上記任務は以下の行動規範に則って遂行する。 今 後 の 取 組 ● 高度情報化・国際化等の経済社会の変化に的確かつ柔軟に対応し、また、納税者のニーズに応えるため、税務行政組織及び税務行政運営につき、不断に見直し・改善を行っていく。 |