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  目的はミエミエ

 政府、自民党、財界が29年度税制改正にむけて動きはじめた。
 今年の目玉は配偶者控除廃止を含む所得税となる。
 8月8日に開催された政府の経済財政諮問会議では、経団連の榊原定征会長らの民間議員が、新内閣発足にあたっての重点課題として「女性が働きやすい税制・社会保障制度等の実現に向け、配偶者手当、配偶者控除について今年中に道筋を明らかにする」ことを要請した。
 これを受けて議長の安倍首相は「多様な働き方の実現に向け、年度内をめどに実行計画を策定する」と宣言。
 さらに、臨時国会は「アベノミクスを加速させる」国会にすると息巻いている。
 この政府と財界の出来レースは、深刻な人口減少・労働力不足による景気後退を打開するために、女性に労働力になってもらおうという政府・財界の思惑によるもの。
 「女性活躍社会」などと聞こえはいいが、ズバリ「安い労働力確保」である。
専業主婦が優遇されている?
 フザケルるんじゃないわよ
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  大衆あおり 「魔女狩り」

 本来、女性が社会進出し経済循環の一翼を担う存在となることは、これからの日本にとって大事なことに違いない。
 政府にはそのための充実したまともな政策を実行しなければならない。

 ところがである。
 配偶者控除は、妻の給与年収が103万円を超えると適用されなくなるため、この仕組みが女性の働く意欲を損ないかねないし、専業主婦世帯を優遇しているというのだ。
 いつのまにか配偶者控除と103万円の壁が「魔女」に祭り上げられている。
 「魔女」は社会をダメにするから「魔女狩り」せねばならないと煽っているのがアベノミクスといえる。
 配偶者控除を廃止すれば、働く時間を抑えることなく長時間働くだろう。狙いどおり「安い労働力確保」ができるではないかというわけだ。
 そのうえ増税もできるのだから、願ったり叶ったり。庶民増税の柱である消費税増税を延期したが、どっこい所得税で庶民増税をしようとしている。

      新たに106万円の壁

 税金の問題ばかりではない。この10月からパートに106万円の壁が立ちはだかる。
 ① 週20時間以上、② 年収106万円以上、③ 勤務期間1年以上、④ 501人以上の従業員のいる企業、以上の基準をすべて満たす場合は、厚生年金と健康保険へ加入することになる。
 大手スーパーのパートなど該当する人はたくさんいるだろう。
 今までは130万円を超えると社会保険に加入する必要があり、半分は会社負担となるが本人負担は年間15万円ほどになる。手取が減るのだ。
 この負担は税金より大きい。将来の年金に結びつくのだから結構なことではないかというのは、パートの雇用条件の不安定さを知らない空論。狙いは社会保険料の増収であって、個々の人の不確かな将来の年金など頭にない。
 
   廃止がまねく事態は何か
 
 話を配偶者控除に戻そう。
 政府税制調査会は9月にスタートする税制改正論議の中で、配偶者控除の見直しや子育て世帯の税負担軽減などを主軸とする所得税改革を議論する。配偶者控除については、妻の年収にかかわらず夫婦で一定額を控除できる「夫婦控除」への転換を検討する方向。

 自民党税制調査会も秋から始める税制改正論議の中で専業主婦世帯を優遇する配偶者控除の見直し、つまりは専業主婦世帯の負担増になる改正を目指す。

 多くを語るまでもない。
 消費税の引き上げを何故延期したのか。8%に上げて消費不況を招き、アベノミクスは事実上失敗している。それを10%にすれば完全に破たんすると読んだからではないのか。
 配偶者控除をいじるだけで働く女性が増え、所得税の税収が上がる保証は全くない。
 配偶者控除見直しは、確実に庶民増税につながる。消費不況に拍車をかけるだけだ。
 
 論拠薄弱で、筋違いの税制改正。アベノミクスではなくアベのミス。
 安倍政権の継続は日本を危うくする。