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  なぜ消費税増税か

 3月30日、民主党野田政権は公約に違反する消費税増税を閣議決定し、増税法案を国会に提出した。野田首相は増税法案成立に向けて政治生命をかけるという。法案が成立しなければ、総辞職か解散になろうが、政治生命をかけるという意味は辞職して議員を辞めるということであろう。マスコミ報道は野田首相の決意を意味ありげに取り上げるが、国民にしてみれば、野田首相のこれからはどうでもいいことだ。
 なぜ消費税増税なのか。消費税増税がもたらす日本の未来がどうなるのか。問題はそこである。
 増税しても社会保険料は引き続き引き上げられ、給付は切り捨てに向かうこともはっきりしている。消費税増税でも社会保障が充実することはないが、増税しなければ社会保障を維持できないという財政状況になってきていることは間違いない。
 この原因を作ってきたのは国民ではない。無駄遣いをし続け、応能負担でとるべきところからとらず、大企業に多大の税減免をしてきた失策政治の結果である。ところが、政権を握ってきた人たちはこれを失策と思っていない。いわば確信犯として、弱いものに厳しく、強いものにはより恩恵を与える政治を推し進めきたのだ。 
 消費税増税はこの政策の延長線にある。
 大企業に負担を求めず、国民に広く負担させ、貧乏人どおしで支えあえと、国民にナイフを突きつけている政策のひとつの帰結が消費税増税であり、ここに本質がある。国民は本当に怒らなくてはならない。

  若者を苦境に追い込む増税

 消費税が増税されればどうなるであろうか。ほんの一瞬駆け込み需要が増えるかもしれない。その後は経済の失速である。橋本増税が良い例だ。その後の長期停滞を私たちは身をもって経験しているではないか。
 若者に将来負担を負わせてはいけないなどと、筋違いの宣伝がされている。消費税増税は、若者に暗雲立ち込める日本を引き継ぐことになる。若者はここを押さえて消費税増税反対の先頭に立たなければならない。

  閣議決定で取消しを

 閣議決定は閣議決定でしか取消しができない。閣議決定して提出した法案を廃案にすると政権が自ら取消すことは、当初決定が間違っていたことを自ら認めることになり、当然政治責任を問われることになる。それで政治生命が絶たれるのなら、良いではないか。 

 過ちを正すのに躊躇してはならない。野田首相が政治生命をかけてやるべきことは、消費税増税の閣議決定を取消すことである。