to112.jpg

 政治責任とらぬ 最悪のすり替え


 ご飯論法とは、「知恵蔵」の解説によれば ・・・ 議論における言い逃れや論点のすり替えを表す言葉。 たとえば、「ご飯(米)は食べていない(が、パンは食べた。でも、言わない)」といった具合である。
 2018年法政大学上西充子教授がTwitterに投稿したことから広まり、主に国会質疑で野党追及をかわすために論点をずらしたり、ごまかそうとするのを揶揄する表現として使われた。 同年、『「現代用語の基礎知識」選2018ユーキャン新語・流行語大賞』のトップ10に選出された。

  ご飯は食べていない! ってさ
ご飯.jpg

     ご飯論法 ?

Q 「朝ご飯は食べなかったのですか?」
A 『ご飯は食べませんでした!』 ・・・ (パンは食べましたが、それは黙っておきます)
Q 「何も食べなかったのですね?」
A 『何も? と聞かれましても、どこまでを食事の範囲にいれるかは、必ずしも明確ではありませ
 んので・・・』

 加藤厚労大臣が悪質極まりない論点づらしの国会答弁をツイート(上西氏のツイッターより)したのを受けて紙屋高雪氏が「ご飯論法」とネーミングした。

 「朝ご飯を食べなかったんですか?」 と聞かれて、パンを食べていたなら、『食べました。 お米ではありませんが、パンを食べました』と答えるのが普通であり、誠実な国会答弁だ。
 しかし、何らかのやましい事情で『食べました』と答えたくないときに、“朝ごはん”<朝食について聞かれているのに “朝ごはん(お米)”にすり替え、作為的に論点をずらして『ご飯は食べていません』と国会答弁する。 ・・・ 実際に「朝ごはんを食べたか?」については答えず、相手(国会の場合は、国民)に“朝ごはんを食べていなかったのか”と思わせる答弁方法のことだ。

 安倍内閣になってから政治家、官僚の劣化は極まりなく蔓延している。 質問に真正面から応えず、論点をずらして逃げるという安倍政権特有の朝ごはん論法だ。
 「朝ごはんを食べましたか?」と聞かれたら、『食べませんでした』と答える。 そうか、朝食抜きなんだと思ったら、実際はパンを食べていた。 朝食は食べたが、ご飯(米)は食べていない。 詭弁としか言いようがない安倍政権の論法。
 安倍首相に対する忖度から官僚の偽装・隠ぺい ・・・ 国会議員の政治資金規正法違反・選挙違反事件反論答弁 ・・・ 等々、政治ぐるみ、官僚ぐるみの「ご飯論法」だ。 国民をバカにしているとしか思えない。

  慢心政治家と 責任欠如の政治家 ・・・ 日本政治史上最悪

 ご飯論法は、安倍首相の典型的な答弁に現れている。
 テレビ番組での一コマ。 安倍首相が友人の加計孝太郎・加計学園理事長とのゴルフや会食を重ねていたことについて追及されたとき。 「ゴルフが駄目で、テニスはいいのか、将棋はいいのか」と反論した。 ・・・ 反論になっていない。見事な論点づらしだ。

 森友・加計学園スキャンダルは日本政治史に大きな汚点を残した。 財務省による組織的な公文書改ざん・隠ぺい・破棄である。 国会と国民を欺き、民主主義の根幹を破壊する大事件だ。
 防衛省の日報問題。 文科省・厚労省等の不祥事 ・・・ 政治家による法違反・問題発言等々。未曾有の不祥事が続発しているのに官僚も政治家も責任を取らない悪しき風習をつくった。

 「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」 と大見得を切って2年。安倍首相は未だ疑惑解明に蓋をしたままだ。

 行政への信頼を失墜させ、その重い責任を政治家が負わない。 人としての見識を欠く閣僚でも政治力学(恩賞)のみで温存する。 これでは社会全体のモラルが崩れていく。

 「政治責任が有効に機能しないところには民主主義は存在しない」
 憲法学者・杉原泰雄(一橋大学名誉教授)の言葉だ。

 今年は統一地方選挙、参議院選挙の年だ。 信頼できる議員を選ぶのは私たちの責務だ。