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   全事業者が対象

 景品表示法が改正され、28年4月1日から「課徴金」制度がスタートし、3カ月が経過した。
 まず、課徴金制度はすべての事業者が対象になると考えていただきたい。
 税金で過少申告をした場合に加算税を賦課されるが、仕組みはそれに似た制度であり、「行政上の制裁」、「行政罰」という位置づけである。

   課徴金は対象売上金額の3%

 簡単に言うと、不当表示によって商品を売ったり、工事を受注したり、不動産仲介などを行った場合、その売上金額や請負額等の3%を課徴金として没収するというものである。
 課徴金を課す対象期間は最長3年間だが、不当表示をやめた日から6カ月以内に取引をした日までが対象となるので注意が必要だ。
 3%は不当表示で儲けた額、つまり所得ではなく売上金額に乗ずるので、課徴金額はきついものとなる。
 
   課徴金で倒産もあり

 例えば不当表示による売上高が毎年2億円あり、それによる所得は1千万円だったとする。調査が入ってアウトとなれば、3年間だから6億円×3%=1,800万円が課徴金となる。
 所得は3年間で3千万円だから、所得額でみれば6割(1,800万円÷3,000万円=0.6)を没収されるということになる。
 次の年の所得はうまくいって1千万円だとしよう。その年の所得では課徴金を納められず、銀行は課徴金の納付のための融資をしてくれないので、資金繰りに行き詰まり倒産ということになりかねない。
 ちょっと脅かし過ぎではないかと思われるかもしれないが、課徴金はなかなか重いと認識すべきだ。

   150万円未満は賦課されないが・・・

 ただし課徴金が150万円未満となる場合は課徴金は賦課されない。つまり、不当表示による売上額が5,000万円以上にならなければ課徴金は賦課されないということである。
 この下限は中小業者への配慮ということになっているが、工事請負や不動産仲介などでは1、2件の売上で対象になってしまうから、高をくくってはいけない。
 この課徴金は、当然のことだが法人は損金に、個人は必要経費にならない。
 周辺で課徴金を巡る話は出ていないが、今後制度が広まり定着してくると、「摘発」と「課徴金」の対象になる場合が出てくるので、この制度をよく知り、十分に気を付ける必要がある。
 
   アウトの不当表示

 どのような行為がアウトになるのかというと、次の3つ。
① 優良誤認表示
 事業者が供給する商品や役務の内容が、実際のものや競合する他の事業者のものよりも「著しく優良」であると誤認させる表示。
② 有利誤認表示
 事業者が供給する商品や役務の取引条件が、実際のものや競合する他の事業者よりも「著しく有利」であると誤認させる表示。
③ 推定優良誤認表示
 消費者庁長官が事業者に広告の裏付け根拠を求め、それが一定期間内に提出されない場合は、即優良誤認表示と推定して課徴金を賦課。

   知らなかった、では済まない

 事業者が広告が不当表示にあたるとは思っていなかった場合もあるだろう。その場合でも上記の①、②にあたる場合は原則課徴金の対象になる。
 ただし、「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき」は課徴金は賦課されない。「かつ」であるから、「相当の注意を怠った者」の判断基準が問題になるが、これについてはガイドラインが出されている。

 不当表示の事例やガイドラインは、消費者庁のホームページで確認してもらいたい。
 とにもかくにも、景品表示法の改正で課徴金制度が28年4月から始まったので、当事務所も含め事業者は注意を払うことが必要だ。