いやはや、笑点で木久扇が得意とする「越後屋 お前もワルよのぉ~」そのままというのだから、笑わずにはいられない。
商人越後屋は便宜を図ってもらおうという下心丸出しでお代官様を尋ねた。 座敷に招き入れられた越後屋は「お口にあいますかどうか。あの件はひとつよろしく。」と桐箱に入った虎屋の羊羹と小判50両を進呈。 お代官様は小判を摘み上げ懐にさっとしまう。そこで一言。 「あの件か。それにしても越後屋 お前もワルよのぉ~。ふぉっふぉっほぉ」 | こんなところで なにやらヒソヒソ |
お代官様のこのセリフは悪事の共犯関係を確認するものだ。
テレビならここで黄門さまが登場し、越後屋とお代官さまは懲らしめに合って一件落着となる。
公務員の犯罪として贈収賄がある。誰かが直接的な被害を受けるわけではないから、表に現れにくい。
ところが、天網恢恢疎にして漏らさずで、こうした悪事は当事者があらぬところで喋ったり、関係者の内部告発で表に出てしまう。人の口に戸は立てられない。
直接的な被害はないといったが、競争相手は被害を受けたと思うであろうし、なにより国の税金が無駄遣いされるのだから、国民が被害者となる。
仮にこのようなやりとりがあれば、やはり厳しくさばく必要がある。
と思っていると、代官様の集団から大音声が響く。
「50両だぁ。ちいせぇちいせぇ。こちとら320億両を毎年がっぽがっぽといただきだぁ。
憲法違反ではないかだと。ばかぁいうんじゃねぇ。国民一人当たり毎年250円ふんだくっていいというお墨付きよ。何に使おうと文句言われる筋合いじゃねえ」と。
共産村の代官様は受け取っておらず、憲法違反だからと筋を通してこれに加わってはいないが、他の代官様は当然顔で受取ってこのセリフだから、ふんだくられている国民の一人としてはやりきれない。
嘘の出張で公費を私して、それがばれると泣き叫んで訳の分からないことを言い、お裁きの白洲に出てこいと言うと逃げ回り、揚句に牢屋に入れられた郡方小代官の芝居もかかっている。
いずれもばかみたいな筋の芝居だが、なかなかどおして面白い。
「浜の真砂は尽くるとも、世に盗人の種は尽きまじ」が、妙に心にしみる。
木戸銭を払って、じっくり見ようではないか。