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 アルジェリアでおきた襲撃事件により命を奪われた方に、心から哀悼の意を表します。

 話題としてはいささか重たすぎる事件であり、まだ真相が明らかになっているわけではありませんので、軽々な判断はできません。しかし、この事件を考えるいくつかの視点があります。それらに触れながらこの事件を今後も注視し、記憶にとどめておかなければならないと思います。
 
 今回の事件は、紛争の一方の当事者であるイスラム武装勢力が、アルジェリアの隣国マリからフランス軍を撤退させるために起こしたものと報道されています。
 マリと日本の関係がいかなるものか、改めて探ってみると、次のニュースがありました。

(CNN)2013.1.30
 イスラム武装勢力との戦いが続くアフリカ西部のマリ情勢を巡り、日本や欧米諸国、周辺国は29日、マリ支援国会合を開き、総額4億5500万ドル(約412億円)の拠出を表明した。拠出金はマリでの軍事支援や人道支援などに利用される。
 日本が1億2000万ドル、米国は9600万ドル、EUが6700万ドルを支援。セネガル、ナイジェリア、ガーナが各300万ドル、中国とインドが各100万ドルを出す。
 マリのトラオレ暫定大統領は会合で支援国に感謝の意を表し、7月31日に選挙を実施するとの計画を発表した。
 フランス国防省は28日、フランス軍がマリ政府軍とともに、同国北部の古都トンブクトゥを奪還したと発表した。オランド仏大統領は同日の記者会見で、マリでの戦いは「勝利に向かっている」と自信を示した。
 国防省によると、仏軍はトンブクトゥからガオにかけ、1年近くイスラム武装勢力に支配されていた地域を制圧した。武装勢力はこれまで音楽や喫煙、飲酒、テレビでのスポーツ観戦などを禁じ、トンブクトゥの史跡を破壊する攻撃を繰り返していた。

 
 フランスは軍隊を派遣して軍事支援している当事者です。
 日本は、お金で軍事支援しているのですが、世界各国の中でトップの額を拠出していることになります。軍事支援と人道支援の割り振り額は定かではありませんが、日本円で約100億円という巨費を投じます。
 このニュースに関して日本政府は否定していませんから、事実だと考えてよいと思います。発信がCNNですから、イスラム武装勢力がこのニュースを把握していることは疑いないでしょう。当然に、この会合が事前に準備され、軍事支援が強化されることをつかんでいたでしょう。
 当コラム子は不覚にも、このような軍事・人道支援金を日本を含む欧米諸国が検討していることを知りませんでした。これを知ると、事件を単なる「テロの被害」というだけの受け止めでよいのか、考えざるを得なくなりました。
 政府は、この事件に関する一連のコメントを、マリを巡る軍事支援に触れずに発表し続けました。各報道も同様です。事件の発端がマリの紛争ですから、国民に対しては日本政府も当事者であることを説明してしかるべきではないでしょうか。
 
 テロとは英語のテロリストの日本的略語で、テロリストとは「政治的もしくは宗教的な信条に基づき、非合法かつ暴力的な破壊活動を行う人」のことです。
 いま現在、統治をめぐって紛争している国がいくつもあります。このような国は、統治の主権をめぐって人間どうし争い殺戮し合っており、その国だけで見れば内戦状態にあります。それに加えて、その紛争に他国が介入しているのですから、単なる内戦状態にあるのではなく、介入国を含めた戦争状態にあるのです。
 言葉や定義で人の死を区分けすることは許されません。ましてや、何らかの意図をもって人の死を利用することは、到底許されることではないと思います。