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  格差拡大は、国民の利益に反する

 経済規模では世界第3位の日本。 物質的には豊かで平等な社会と思っている?  「一億総中流家庭」と自任していたのは、もはや昔の話。  今や、拡大する所得格差、ワーキングプアの出現、社会保障の削減や負担増など、日本の「貧困率」は世界的にも高い。
 格差拡大は、いずれ国民の利益に反する結果をまねく。
  子供の未来にこそ税金を
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   先進国30ヶ国中、日本の貧困率は4番目に高い

 OECD(経済協力開発機構)加盟国の相対的貧困率をみると、日本は先進国のなかでも「相対的貧困率」は30ヶ国中、4番目に高い。

 日本の貧困率は16.1%、6人に1人が貧困ラインを下回っている。
 貧困率は、低所得者の割合を示す指標。厚生労働省が2014年7月まとめた「国民生活基礎調査」によると、等価可処分所得の中央値の半分の額<相対的貧困率=所得が国民の「中央値」の半分に満たない人の割合>に当たる『貧困線』(2012年は122万円)に満たない世帯の割合を示す「相対的貧困率」は16.1%だ。 18歳未満の子供を対象にした「子ども貧困率」は16.3%と過去最悪を更新した。

 日本国民の6人に1人が相対的な貧困層(貧困ライン以下)に分類される。
 長引くデフレ経済下、大企業は過去最髙の経常利益、過去最大の内部留保と騒がれる中、国民は低賃金、非正規雇用に喘いでいることの証左である。

 所得格差も拡大している。 2009年、人口の上位10%の富裕層の平均所得は、下位10%の平均所得の10.7倍と拡大している。(1990年代8倍、1980年代7倍)  2013年のOECDの平均は9.6倍だ。

   日本は、所得再配分のレベルでもOECD諸国で低い

 所得再配分とは、富の再配分とも言われ、税制や社会保障などを通じて、高い所得者から低い所得者へ富を移転させることである。
 応能負担の原則に応じ、所得の高い者には高い負担率(所得累進課税)で税金や社会保険料を課す。所得の低い者には低い負担率で税金や社会保険料を課し、給付(社会保障)という形で所得を補填するということである。

 この所得再配分のレベルでも日本はOECD諸国に比べ格差が高い。
 2009-2010年の格差は、税と給付を合わせても日本は19%しか減少しておらず、同時期のOECD平均の26%を大きく下回っている。

   「貧困率」の増加に ・ 安倍首相の「日本は裕福な国」反論

 OECD諸国の中で4番目に高い日本の「貧困率」。 6人に1人が貧困という実態。 世界有数の「貧困大国」との認識を問われた安倍首相は。
 「日本は貧困かといえば、決してそんなことはない。日本は世界の標準でみて、かなり裕福な国だ」と反論し、厚生労働省やOECDの調査実態さえ否定した。
 都合の悪いことはすべて反論・否定し、相手の言い分はウソだと決めつけるトランプ論法だ。

   「見えにくい」子供の貧困

 「相対的貧困率」とは、所得の中央値の額の半分を下回っている人の割合で、その国の所得格差を現している。
 「絶対的貧困率」とは、地球上で生きるにあたって、最低必要と考えられる食料・生活必需品を購入するお金さえない人の割合を示している。

 世界統計によると、途上国の「絶対的貧困層」は減少傾向に転じているが、日本では富裕層と貧困層との格差「相対的貧困層率」は拡大している。

 相対的貧困は、ときに「絶対的貧困」と同様の精神的ダメージを人に与える。

 「どうせ僕なんて・・・」
 「生きている価値なんてないのだ・・・」
 「底なし沼に落ちていくみたいだ・・・」
 「大学なんて・・・」

 子供たちから悲痛な叫びが聞こえる。

 貧困は連鎖する。 親から子へ  さらなる親から子へと
 「貧困の連鎖」を断つことが早急の課題だ。

 貧困対策は未来への投資だ。
 子どもから夢や希望を奪ってはならない。

 「応能負担」と「所得再配分」 ・・・ 「税」集め方、「税」の使い方、真剣に考えなければならない。