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  アベノミクスの株価つり上げ政策

 5月24日の東京株式市場は、日経平均株価2万952円71銭(一時)まで上昇し、18年半ぶりとなる2万1000円に迫った。終値は前日比58円61銭高の2万868円03銭と、2000年4月12日に付けたITバブル期の高値2万833円21銭を超えた。
 世界的な金融緩和で資金の流れが株式に向かっているほか、東京市場では、円安基調を背景に輸出関連の自動車、電機などの業績が拡大するとの期待が広がっている。
 実体経済とは カンケイナイ
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  一方、市場では「ギリシャ問題の不透明感」など、短期間で急上昇した株価への警戒感も出ている。

   株価高騰は 官製相場

 株価上昇をもたらしているのは海外投機筋の「日本買い」と年金資金などの「公的資金」だ。
 いずれも「アベノミクス」による株価つり上げ政策によるものだ。

 東京証券取引所などが5月18発表した株式分布状況調査によると、2014年度、日本株を最も多く買ったのは外国人だ。外国人の日本株保有比率は31.7%(金額ベース)となり、2年連続で日本株の最大株主となっている。
 2014年度の売買状況(「買い」から「売り」を差し引いた金額)を見ると、外国人は「買い越し」、国内都投資家では、信託銀行と事業法人は「買い越し」、個人は「売り越し」であった。
 信託銀行が大幅な「買い越し」となったのは「公的資金」によるものだ。
 安倍政権は昨年10月、公的年金の株式運用を倍増した。年金積立金管理運用独立行政法人の国内株による運用比率を12%から25%と引き上げた。このため、年金資金が約17兆円も株式市場に流れ込んだ。

 アベノミクスは、日銀に異次元の「金融緩和」をさせ、海外の投機筋を日本の株式市場にひきつけ、公的年金の株式運用を倍増させるなど露骨な株価つり上げ政策を取っている。まさに、「官製相場」といえる株価上昇である。

   日本経済は 良くなっていない

 日本の実体経済はよくなっていない。昨年4月の消費税増税以降、家計の消費支出は13ヶ月連続で前年マイナス。7月1日発表される日銀短観の民間予測でも企業の業況判断は横ばいだ。
 政府関係の資料からも日本の大企業は自らの利益の極大化が目標であり、雇用・賃金は軽視している。「日本経済を良くする」「国民生活を向上させる」観点は、政府にも大企業にも存在しない。

   現在の緩和策 継続 (日銀)

 日銀は6月19日の金融政策決定会合で、現在の量的・質的金融緩和策の継続を賛成多数で決定した。声明文では、景気の現状について「緩やかな回復を続けている」との判断を据え置いた。いつまでたっても「緩やかな回復を続けている」との判断だ。
 格差がますます拡大し、貧困度も上昇している日本国民の実体経済は日銀には届いていない。

   福島原発 自主避難者への 住居補助打ち切り

 福島県は東京電力第1原発事故の避難指示区域外からの自主避難者に対する避難先での住居の無償提供について、1年延長した上で2016年度以降打ち切ることを決めた。
 福島県の推計では、自主避難者は約2万5000人で、うち県外避難者は約2万人。

 そもそも原発被害は自然災害ではない。時が過ぎれば復旧するというものでもない。目に見えない放射能の被害である。放射能を除去する方法も時間も見通せない人災である。
 自主避難者の生活の根底は住居である。さまざまな事情や思いを抱える避難者に寄り添い、避難の実態が継続している以上救済し続けるのは国・県の責務である。

 「国民の生命と財産を守る」ということは、戦争法案ではない。