好循環 ! どこが ? 経済は悪循環に
大企業を優遇する「アベノミクス」効果で大企業は過去最高の利益を上げているが、その利益が経済をけん引する個人所得(賃金)の上昇に向かっていない。
実質雇用者報酬は、前年同月比で1.9%減少。収入の目減りが消費の冷え込みとなっている。
GDPの6割を占める「個人消費」は5.0%減から5.1%減に下方修正された。年率換算で19.0%減である。まさに、実質賃金が減少し、消費が落ち込み、GDPが落ち込むという悪循環・スパイラルに日本経済が直面していることを示している。
「企業の『稼ぐ力』をつけることが「経済の好循環」につながり、大企業が稼げば、国民にオコボレが滴り落ちる」という(トリクルダウン理論)。 「アベノミクス」で大企業は空前の利益を上げる一方、消費税増税や賃金低下で国民の生活はますます深刻化し、大企業優遇政治によって個人消費も日本経済も悪循環に陥っている。 もはや、安倍首相の「アベノミクス」はレッドカード(退場)である。
円・急落 6年ぶり 109円台
9月19日の東京外国為替市場は午後5時現在1ドル=109円09~10銭と6年ぶりの円安・ドル高となった。 対ユーロでも下落。同1ユーロ=140円63~64銭と円安・ユーロ高となった。
インフレ・円安を誘導してきた安倍首相「アベノミクス」・日銀の政策。 輸出を中心として来た日本の大企業は海外へ生産拠点を移してきたため輸出が伸びず、輸入商品(原材料・燃料・食料品等)はあらゆるものが高騰し、国民生活を圧迫している。
景気判断引き下げ (9月月例報告)
関係閣僚会議に提出された9月の月例経済報告は、景気の基調判断を5ヶ月ぶりに下方修正した。消費税増税前の駆け込み需要による反動減、台風や豪雨などの悪影響があるとはいえ、最も重要な個人消費の冷え込みが影響している。
日本百貨店協会が発表した8月の全国百貨店売上高は、前年同月比0.3%減と5ヶ月連続のマイナスを記録した。
個別項目の個人消費の判断は、7.8月の「一部の弱さは残るものの、持ち直しの動きがみられる」から、「持ち直しの動きが続いているものの、このところ足踏みがみられる」に5ヶ月ぶりに下方修正した。
消費税10% ・ 反対.見送り 8割
来年10月に予定されている消費税10%への引き上げ。 時事通信社の9月世論調査では「引き上げ反対」37.6%、 「当面見送るべき」39.2%と 「予定通り10%にすべき」20.9%を大きく上回り76.8%に達し、大増税に対して国民が強く反対していることが改めて浮き彫りとなった。
これに対し経団連は、2015年度の「税制改正」に向けた提言で、国民の大多数が反対している消費税率の10%への引き上げについて「着実に」実行することを求め、法人税率については引き下げを求めている。消費税の複数税率についても否定。「単一税率を維持」を求めている。
もともと消費税は国民(消費者)が負担しているものである。 輸出大企業等は消費税を負担することなく還付を受けている。 そんな大企業の団体が、国民(消費者)が負担している消費税について要求すること自体自分勝手であり本末転倒である。
「増えていく社会保障費を賄うために消費税増税 ・・・ 」などと破綻済の論理でもはや国民を騙すことはできない。
庶民は 「生かさず 殺さず」
「百姓どもをば 死なぬように 生きぬように と 合点いたし収納し付くるよう ・・・」(徳川家康「落穂集」) とは税金・徴収の基本である。
第一生命の調査によると、働く20~30代男女の昼食1回の平均金額は552.5円で、3年半前の東日本大震災発生直後に比べても約26円減った。 同調査は「消費税アップと物価上昇か?」と分析している。
政府の統計でも実質賃金は減り続けており、この調査結果は庶民の実態を表している。 この先、消費税10%への引き上げ、社会保障・医療費等の自己負担増、賃金引き下げ・生活保護費等の切り捨てが続けば、日々の昼食すら節約している庶民からさらに吸い上げようとすることになる。 まさに、『生かさず 殺さず』である。