信金中金研究所がリポート
信金中央金庫の地域・中小企業研究所が発表したリポートによると、8割以上の中小企業が「賃上げができなかった」との回答状況だ。
今春の賃金引上げについて ・「実施していない」と回答した企業が83.4%に達した。
実施していない理由について ・「様子をみている」(34.6%) ・「景気見通しが不透明」(25.2%) との回答が6割近くを占めている。
一方、 ・「実施した」と回答した企業は16.6%。
実施した理由について ・「従業員の処遇改善」(8.4%) ・「自社の業績改善」(3.9%)などアベノミクスによる業績改善を挙げた企業は4%にも満たなかった。
賃上げ実施した企業の従業員規模別をみると ・100人以上の企業(32.3%) ・20人未満(12.4%) ・1~4人(7.1%)にとどまり、小規模企業ほど賃上げができない実態が浮かび上がった。
アベノミクスをバラ色に唱える政治家・経済評論家がマスコミを賑わしているが、その効果は大企業に集中し、中小零細企業、国民生活には行き渡っていない実態がうかがえる。
アベノミクスの経済政策で「三本の矢」と期待がもたれ、大企業は史上空前の利益を上げ、投資家は株価に一喜一憂しているが、毎日必ずニュースの後に報じられる「日経平均株価」「TOPIX」について何なのか? みてみる。
「日経平均株価」 「TOPIX=東証株価指数」
日経平均株価とは、日本の株式市場の代表的な株価指数の一つ。 ダウ平均株価であり、東京証券取引所第一部に上場する約1700銘柄のうち225銘柄を対象にしている。日本経済新聞社がその銘柄を制定、15秒毎に算出して公表している。日本の株価指標としてはTOPIX(東証株価指数)と並んで普及している。完全に民間が作成している経済指標でありながら、日本政府の経済統計としても使われている。
225銘柄は、取引が活発で流動性の高い銘柄を選定し計算・算出。業種のバランス等も考慮しながら、定期的に入れ替える。
東京証券取引所が選定基準のため、大阪証券取引所(大証)での取引が中心の銘柄は日経平均に組み込まれないが、東証・大証が2013年7月に市場統合したため旧大証の銘柄も選定さる可能性もある。日経平均を使用した金融商品は、株価指数先物など世界中で多数発売されている。
基本的に単純平均なので、値がさ株(値がさ=値段が高いこと)の影響を強く受ける傾向がある。特に(今、株価で注目を集めている)ファーストリテイリング1社の動きが指数全体の動き(指数全体の動きの10%を占める)に影響する。さらに寄与度上位のソフトバンク、ファナックを入れると指数全体の20%を占めることになる。
一方、時価総額最大のトヨタ自動車の指数影響度は2%以下にとどまるなど、一部の銘柄の動きに過度に影響されており、株式市場全体の動きを反映していないとの批判もある。また、寄与度の大きい銘柄の株価を意図的に吊り上げることにより、日経平均株価を自己の有利な価格に誘導する投機的な取引も行われ問題とされている。
・ 日経平均株価(当年大納会終値)の推移
1950年( 101.91円)
1959年( 874.88〃)
1969年( 2358.96〃)
1979年( 6569.47〃)
1989年(38915.87〃)
1999年(18934.34〃)
2009年(10546.44〃)
2013年(16291.31〃)
2014/4.24 (14404.99〃) ・・・ アベノミクスと株大暴落の前兆?
TOPIX(東証株価指数)とは、東京証券取引所第一部上場銘柄を対象として、同取引所が1秒ごとに算出・公表している株価指数である。日経平均株価とともに日本株のベンチマークとして普及している。
TOPIXは、東証第一部上場株の時価総額の合計を終値ベースで評価し、基準日である1968年1月4日の時価総額を100として、新規上場・上場廃止・増原資・企業分割などにより修正され、指数化したものである。
日経平均株価に比べ、特定業種・企業の株価の動きによる影響を受けにくい利点を持つ反面、株の持ち合いにより時価総額のダブルカウントが起きやすい欠点も有している。このため、時価総額加重平均型株価指数から浮動株基準株価指数への移行を行った。
「日経平均株価」と「TOPIX」との関係
日経平均株価をTOPIXで割った値を「NT倍率」と呼ぶ。2000年以降のNT倍率は概ね9.5~11.5前後で推移している。日経平均株価の変動は輸出関連・ハイテクやファーストリテイリング・ソフトバンクなどの値がさ株による影響が大きいのに対し、TOPIXは時価総額の大きい大企業や内需関連株による影響が大きく、特に銀行株の構成比が両者で大きく異なっている。したがって、NT倍率が大きく上昇したり、逆に下降したりするときは、物色対象が偏っていることを表す。