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  賃金・下請単価の 切り下げが問題

 政府・日銀は、デフレ脱却と経済成長に向け連携を強め、物価上昇率(インフレ)目標2%を導入するほか、無期限の金融緩和に踏み切る共同声明を発表した。
 「デフレ不況」の最大の原因は、国民の所得が減り続け、国民の消費経済が低下し続けていることにある。その根本的原因を解決せず(雇用・所得増への保障も政策も目標もなし)に消費者物価2%というインフレ目標の導入と無制限の金融緩和をしても効果がないことは過去の歴史からも実証済である。

  「折れた3本の矢」 ― 破綻済のアベノミクス

 アベノミクス(2%のインフレ目標と無制限の金融緩和、大型公共事業バラマキの経済戦略)は歴史的にも破綻済の“折れた3本の矢”である。
 暮らしと経済を土台から温め、国民の懐を豊かにし、消費経済を活性化する方向にはまったく反している。
 国民は物価上昇(インフレ)のみの経済政策を望んでいない !
 生活を豊かにし、所得を増やす政策こそ望んでいる。

  アベノミクスに世界が批判 ― ダボス会議

 ドイツのメルケル首相は、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、安倍政権の経済政策(アベノミクス)を巡って、「為替操作(円安誘導策)は敏感な問題になりつつあり、日本に対する懸念が出ている」と批判。「政治が中央銀行(日銀)に圧力をかけるべきでない」と語った。

  景気の好循環絵をつくるには
  内部留保を使い、賃上げ・雇用確保である

 デフレ不況のいちばんの原因は、労働者の賃金低下と下請単価の切り下げである。
 労働者と下請業者の犠牲のうえに大企業(資本金10億円以上)の内部留保は267兆円のも達した。
                    1997年      2011年       上昇率
     大企業の内部留保    142兆円  →  267兆円  =  166.9%
     労働者の平均賃金    467万円  →  409万円  =  ▲12.4%

 大企業の内部留保は、この14年間で66.9%伸びているが、労働者の賃金はマイナス12.4%である。(下請単価の切り下げも同様)
 この賃金低下、下請単価切り下げ → 個人消費(内需)低迷となり、デフレ不況の根源となっていることは誰の目にも明らかである。
 儲け過ぎた内部留保の一部を賃金引き上げ、下請単価の引き上げ(労働者賃金・下請業者単価はコストではない - 経済の根本である)に活用し、個人消費・内需の拡大につなげることこそ景気回復の“好循環”をつくり出し、企業業績の改善、経済成長へとつながるものである。

  厚生労働省「白書」も指摘

 「日本経済において需要不足が続いているが、国内需要の大きな割合を占める家計消費を押し下げている最大の要因は、所得の低下である」 ・・・ 厚生労働省の「労働経済白書」(2012年)もこう指摘している。
 上表のように民間労働者の年間平均賃金は14年間で1人当たり58万円(総額で34.8兆円)も減少した。(国税庁「民間給与実態統計調査」)
 安倍内閣が発表した緊急経済対策は、“企業が成長すればいずれ労働者にもしたたり落ちる”という破綻した政策である。 ・・・ したたり落ちたためしがない
 14年間、企業の内部留保は66.9%も成長したが、労働者の生活は▲12.4%であった現実をまったく無視している。
 国民の家計や雇用を改善することこそがデフレ不況脱却の唯一の道である。
 政治と大企業は、富を社会に還元する発想が必要である。

  「金融円滑化法」打ち切り ― 厳しくなる
   「返済猶予」 から 「貸し剥がし」 へ

 信用調査会社の帝国デーバンクが発表した「金融円滑化法案に対する企業の意識調査」によると、「中小企業金融円滑化法案」が3月で打ち切られた場合、貸し付け条件の変更の申し入れ(返済猶予)に対する金融機関の姿勢が『厳しくなる』と回答した企業は、同法を利用した企業の51.6%にのぼった。
 2009年12月に導入された「中小企業金融円滑化法案」(中小企業の事業活性化等のため、金融機関からの借入金の一部または全部の返済金を一定期間猶予したり、利息の減額が行われた制度)が3月31日で期限切れになる。
 利用者は全国で300万件(80兆円)が利用しているが、中小企業の資金繰りは依然厳しい状況だ。
 当事務所と金融機関との交渉では、「法案が切れたからと手のひらを返したように返済を強要しない」と回答していますが、弱者を切り捨てることで経済(大企業)を回復したいアベノミクス政策では予断は許されない。
 借入先金融機関と十分事前相談ができるよう申し入れをし、無理な返済計画には絶対応じないよう注意することが重要である。

  年金支給 ― 10月から1%減額

 厚生労働省は2013年度の年金支給額について、10月以降の支給額は、1%減額(自公民3党が昨年の解散・総選挙のドサクサにまぎれて改悪強行)される。
 10月から1%、14年4月から1%、さらに15年4月から0.5%減額され、3年間で2.5%引き下げられる。
 国民所得はますます減額され、デフレ不況の回復は国民を置き去りにした大企業に偏る。

  自賠責保険は13.5%引き上げ ― 4月~

 政府は、自動車賠償責任保険審議会(金融庁長官の諮問機関)を開き、自動車やバイクの所有者に加入を義務付けている自賠責保険の保険料を全車平均で13.5%引き上げることを決め、4月から実施される。
 自賠責保険は、死亡事故の場合最高3000万円、重い障害が残った場合最高4000万円の保険金が交通事故の被害者に支払われる。

  難民救済資金と化した ― 政党助成金320億円

 国民負担増と国民給付減は容赦なく実行される一方、政党助成金(13年分、10党で320億円)はバラマキ続けている。
 政党助成金は、税金で政党を助成する憲法違反(共産党は受取拒否・廃止要求)の制度だ。
 新党日本、太陽の党、新党きづな、新党大地の4党は解散届を提出しながら政党助成金を受け取っている。日本維新の会は“政党助成金3割減”を掲げながら100%受給申請している。
 使い道は拘束されない。民主党などは総選挙で落選した議員の活動費(難民救済・生活資金)として一律分配している。
 低所得者の命綱ともいえる生活保護費を削減しながら、自らは巨額の税金を山分けしている。
 可笑しな税金の使われ方である。

  税が悪魔になるとき

 新日本出版社刊 ≪対談≫湖東京至×斎藤貴男  定価1260円
 紹介・・・知っていましたか? 消費税はしくみそのものに根本的欠陥がある。とんでもない税制だということを。
 知られざる消費税の本質と重大な欠陥を徹底追及し、税率アップの真の狙いと社会的害悪を告発する本。