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 パチンコ税の創設 ギャンブル合法化で1%でも財源2000億円

 携帯電話への課税が話題となったが、政府・自民党では法人税減税に伴う財源の一つとして、「パチンコ税」の創設が浮上している。
 10月29日の報道によれば、27年度税制改正では取り上げないとしたが、継続事項とするというのだから、自民党税調の意欲は満々である。
 現行の風営法では換金して現金を提供することは禁じられている。パチンコ店では景品交換所を利用した換金は店舗とは関係ないとして、長年にわたり脱法的な換金が行われている。これを「換金免許制度」を創設して“合法化”し、税金を徴収するというものだ。
試算によると、1%課税で2000億円の税収が見込まれるという。
 
 税金取れれば、なんでもあり? 
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 国会ではカジノ(賭博場)の実現を目指す法案が審議されているが、合法化されれば当然課税の対象となる。合法化されている競輪・競馬への課税は25%であり、仮に導入時1%でも消費税同様次から次へと税率アップされ、25%になることも必至である。
 そもそも法人税率引き下げ減収のための穴埋めに、本来、犯罪(賭博罪)であるギャンブルを合法化し、そこから税収をあげようなどと考えること自体正義と道徳に反することである。
 昔から裏社会の家業といえば、売春・賭博・麻薬の三つだ。
 税収のために賭博を合法化し、胴元である国家が寺銭を稼ぐ。 ・・・ 税収、金のためなら何でもアリの社会をつくれば、いずれ売春も麻薬も税収のために合法化されるのか
 殺人事件まで引き起こした危険ドラッグ。以前は合法ドラッグ・脱法ドラッグと呼んでいた。合法であろうが違法であろうが人間社会にとって“ならぬものは、ならぬ”である。

  安倍首相 カジノ合法化に意欲

 安倍首相は、国会に法案が提出されている賭博場・カジノの合法化法案について、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待できる」「アベノミクス成長戦略にとって大きなプラスになる」と推進姿勢を示している。
 ギャンブル・賭博で栄える経済成長など国民は求めていない。国民が求めているのは、安定した賃金と平和な生活だけである。
 安倍首相の目指している国家・アベノミクスは、私たちの心に逆行していることばかりだ。

  ギャンブル依存症536万人  世界で突出

 厚生労働省研究班が発表した日本の「ギャンブル依存症」の疑いのある人は、男性で8.7%、女性で1.8%、536万人にのぼると推計した。海外の同様の調査ではほとんどが1%前後で、日本の数値は突出して高い。背景には競馬・競輪などの公営賭博に加え、パチンコ・パチスロといった脱法賭博(「遊技」という欺瞞的な扱いで、パチンコ店ではなく、景品交換所を通じた換金)が日常化されていることが指摘されている。
 アルコール依存症の人が109万人、インターネット依存症の人が421万人と推計。薬物依存症の数値はないが、深刻な依存症のなかでも、ギャンブル依存症の規模の大きさが明らかになっている。
 安倍政権がねらっているカジノ賭博場の合法化は、さらなるギャンブル依存症の拡大が懸念される。
これ以上日本を世界最悪のギャンブル依存症大国にすることはできない。
 ギャンブル依存症は個人の人柄や性格によるものではない。賭博場の存在が引き起こすものである。カジノ賭博場は社会の健全性を大きく損なうものである。

   カジノ解禁 やめて

 「カジノ導入とギャンブル依存症対策を考えるシンポジウム」が開かれた。主催は「ギャンブル依存症を考える会」である。シンポジウムでは、日本の依存症対策の遅れをあげ、“ギャンブル依存症対策法案を望む」ことが要望された。
 出席した国会議員、自民党(岩屋毅氏)は、「厳格なルールの下カジノをつくりその収益で依存症対策の機関をつくる」、維新の党(小沢鋭仁氏)は、「カジノの負の部分を極少化する」、公明党(高木美智代氏)みんなの党(薬師寺みちよ氏)は、「党で検討中」 ・・・ 賭博の本質がわかっていない。  民主党(小川敏夫氏)は、「カジノをつくらなければカジノによる依存症は生まれない」、共産党(大門実紀史氏)は、「刑法が賭博を禁止しているのは依存症をつくらないためだ。カジノ解禁をやめ、依存症対策を強力に進めるべきだ」、と述べた。
 カジノは経済活性化・サービス産業の発展・雇用の創出などといかなる理由を述べようとも『略奪的賭博』であり、カジノの収益は胴元に入り、寺銭を国家が巻き上げる構造に変わりはない。サービス産業といえる生業でもない。カジノの収益はそこで人々が巻き上げられた金でしかない。微々たる雇用(一般社会人が雇用されるか?)のためにその何倍もの人達の人生を破壊するものである。

   カジノ 警察の利権に

 日本の公営賭博は、競馬は農林水産省。競艇は国土交通省。競輪・オートレースは経済産業省。宝くじは総務省。サッカーくじは文部科学省。賭博ではなく「遊技」と称するパチンコ・パチスロは警察庁がそれぞれ所轄し、官僚の利権と天下りの温床となっている。
 刑法が禁じている賭博場・カジノ合法化を推進しているカジノ解禁推進法案に関連して提示している「基本的な考え方」では、警察庁の関与を排除する目的でカジノ規制機関を設けるとしていた規定を削除し、日本のカジノの巨大利権に警察組織がかかわることが明らかとなった。
 カジノには暴力団などの介入、不正や犯罪の恐れがあるから政府による厳格な規制が不可欠としていたが、その規制の中心に警察庁が座ることは、日本のカジノは第2のパチンコ、巨大な警察利権になることは火を見ることより明らかだ。
 税収のためにカジノ賭博場を合法化してはならない。